食の新ビジネス四方山話
冷凍食品の不思議
2023.05.06
冷凍食品を製造販売するには冷凍食品製造業の営業許可が必要です。??ってことは前のコラムで紹介されていた「ひとひら」や「ぐるすぐり」に出店している飲食店さんはこの営業許可をもっておられるってことですか?いや違います。持っておられません。え、無免許!と思われるかしれませんが、そうではないのです。彼らは菓子製造許可やそうざい製造業許可で冷凍の食品を製造・販売しておられます。
冷凍して保存、配送する「冷凍(凍結)流通品」と食品衛生上の「冷凍商品」は違うのです。冷凍食品には厳密な規格基準があり、表示に凍結前加熱の有無や加熱調理の必要性の有無について食品表示ラベルに記載する義務があります。つまり、食品衛生法で定められた衛生管理、工程管理を実施し、それを記録し、そもそもその製造施設は冷凍食品製造業の許可があるのが大前提です。しかし、冷凍(凍結)流通品は流通のために冷凍されたものを指し、特別な基準がなく表示の義務もありません。
つまり、冷凍食品とは表記できませんが、製造、流通には問題なりません。これが小さなお店で冷凍食品販売が普及している理由です。
ただ、一般的に冷凍庫で冷凍する(緩慢冷凍)では冷凍時間が8時間かかってしまいます。また、緩慢冷凍では最大氷結晶生成帯(-1℃~-5℃)の温度帯を通過させるのに2時間かかります。水分を多く含んでいる食材では凍結(-1℃~-5℃)されるとき、その水分が氷の大きく結晶を作り、食品の細胞を破ることでドリップという現象を起こします。その結果、食品の味や品質、旨み等が低下。結局、販売商品としては適していません。
そもそも急速冷凍機とは大きな設備で食品工場とか大手のセントラルキッチンにしかありませんでした。そこで登場するのが小型の急速冷凍機です。一般飲食店でも導入できるように急速冷凍機をコンパクトにした商品が登場し、普及し始めたのはこの数年の話です。
次回はこの急速冷凍機についてお話しします。